「畳のリビングがあるカントリーハウスなんて・・・」
私たち自身も初めはそう思ってました。
でも、冬にはコタツにも入りたいし、
緑茶を飲みたいときだってあるでしょう?
見た目にだけとらわれて自分たちのしたい暮らしを
捻じ曲げる事はしたくなかったんです

 「南向きの一番いい場所に、和室ふた間続きの客間を作る」この地に生まれ育ち、
材木業を営む家に嫁いだ和子さんには、それが子供のころから当然のように思ってき
た、住まいのあり方の「常識」でした。ところが、結婚以来、住宅の設計や企画を手伝
って色々な勉強をしてきたことが、住まいに対する考え方に少しずつ変化をもたらした
のです。「“家”は、やすらげることが一番大切なのだから、形にばかりこだわる必要は
ないんじゃないかなって・・・」
 結婚17年目にようやく自分たちで設計したマイホーム。日当りの良い家の中心に、
家族が集まるリビングを設けた。しかしこの家が他のどんな家とも違っていたのは
カントリーキッチンと畳のリビングがひと続きになっているところです。憧れのナチュラ
ルスタイルと、長年親しんできた畳のくつろぎ感が、分け隔てなく溶け込んでいる様子
に驚かされます。
 めったに使わない和室の客間もフローリングのリビングも、本当に我が家に必要でな
いものは、無理して取り入れることはないーそんな潔さを身に付けた狩野家での17年
は、和子さんにとって貴重な歳月だったようです。

Living Room

↑リビングの一角に、座って使えるワー
キングデスクを据えた。パソコンをするの
に丁度良い。

↑吹き抜けの玄関ホール。ローカに置いた
チェストや窓の上のシェルフなども手を抜か
ず飾り付ける。

→約30cmの段差をつけた畳コーナーは
対面キッチン側に立ったときの目線の
高さと合うように考慮したため。

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